相続の流れと財産評価

親族が亡くなると、悲しいと言う言葉では言い表せないような喪失感を感じることがありますよね。
しかし遺族は悲しんでばかりいられません。
血縁が近ければ近いほど、葬儀や火葬などの対応をしなければならないことが多くなります。
それらが終わったら、今度は相続と言う問題を片づけなくてはなりません。
お金が絡んでくることなので嫌な気持ちになることも多いでしょう。
親族同士でトラブルに発展することも決して珍しくはありません。
しかし相続放棄でもしない限り、法定相続人はこの相続問題は必ず向き合わなくてはならないのです。

実際のざっくりとした相続の流れとしては、法定相続人の確定と遺言状の確認、財産調査、財産評価、遺産分割協議と相続方法の確定、各種手続き、といった形になります。
まずは法定相続人が誰なのかを確認し、確定する必要がありますよね。
法定相続人は血縁で決定されますが、中には相続放棄をする人がいたり把握できていなかった法定相続人が存在していたりするケースもあります。
遺言状は相続において非常に大きな効力を持つ故人の遺志ですので、それの有無を確認する必要もあるでしょう。

それらが済んだら、次は財産調査と財産評価です。
この財産調査と財産評価は、相続を進めて行くうえで基本となる実際の財産の価値を計る行為ですので、非常に重要になります。
財産調査によって被相続人である個人がどのような財産を保有していたのかを確認し、場合によってはそれらが相続税評価額としていくらの価値があるのか財産評価を行う必要が出てくるのです。
この財産評価額が分からなければ、誰がどの程度の遺産を相続するのか遺産分割協議を進めることができませんし、単純承認にするべきか限定承認にするべきか相続方法を決定することも難しくなってしまいます。

では実際にどのように財産調査を行うべきなのでしょうか?
まずは財産調査によって調べ上げた遺産を種類別に分別する必要があります。
土地、建物、預貯金、株式などなど、一言で遺産と言ってもさまざまな種類がありますよね。
ゴルフ会員権などが含まれていることも珍しくありません。
その種類によって評価方法が全く異なってくるのです。

たとえば不動産でも、土地と建物では評価方法が異なります。
建物は基本的に固定資産税評価額を調べるだけで済みますが、土地の場合はその土地が宅地なのか山林なのか田畑なのかといった地目によって評価方法が違ってきます。
さらに宅地の場合一つとっても、市街地なのか郊外なのかで評価方法が変わってくることが多いのです。
市街地であれば道路の路線価を基準に路線価方式という計算方法で評価することが多くなりますが、少し街から離れた宅地だと固定資産税評価額に地域ごとに定められている一定の評価倍率を乗じて算出する倍率方式が用いられることが多くなるのです。
このどちらが適用されるのかは国税庁のホームページなどで調べることも可能ですが、一応税務署に確認することがおすすめとなります。

さらにその宅地が貸宅地だったり広大地だったりすると、評価額の軽減措置が適用されます。
貸宅地であれば借地権などを考慮してその分を軽減することになりますが、これは頑張れば素人でも算出不可能なものではないでしょう。
しかし広大地となるとそもそも判定基準が法的に曖昧な部分がありますので、税務署とよく話し合う必要があります。
過去には広大地の判定を巡って税務署と裁判になった例もあるのです。
また不動産の相続では相続登記が必要です。
相続登記についても専門家に依頼することができます。
相続登記についてもっと詳しく
このように素人のみで対応することはあまりにもハードルが高い行為であると言えるでしょう。

そもそも財産評価が必要になると言うことは、相続税が発生するケース、つまりその相続の遺産総額が非常に高額であるケースがほとんどです。
遺産総額が3600万円以下であれば、相続税は基礎控除によって実質0円となり相続税の申告そのものも必要なくなるからです。
その基礎控除を超える金額の遺産総額である見込みがあるからこそ、財産評価を行うケースが非常に多いのです。
そして財産評価によって相続税評価額としての遺産総額を算出し、相続税の申告をする必要があります。

つまり、相続税評価額としての財産評価を行うのであれば、基本的に間違いは許されないと言うことなのです。
もちろん多少の補正は後から行うことも可能ですが、これはとても大変なことでもありますし、万が一大きな見落としなどがあれば、財務調査が入って追徴課税となる可能性も出てきます。

もちろん遺産分割協議のために財産の市場価値を調べると言うことは相続税が発生するしないに関わらず行われることがあります。
しかし市場価値としての財産評価と、相続税評価額としての財産評価では、評価方法が全く異なるのです。
そして遺産分割協議で揉めた結果調停や審判へと移行した場合も、市場価値だけでなく相続税評価額も必要となることが多くなります。
つまり相続税評価額としての財産評価が必要となった場合に素人だけで財産調査を行えるケースと言うのは非常に稀であり、基本的に財産調査は税理士や不動産鑑定士など必要に応じた専門家に依頼するのがおすすめなのです。